シンギュラリティというのは、人工知能の発達により、これまでの未来予測のモデルでは推測できない急速な変化が生じる、という未来予測のことです。2045年問題とも呼ばれます。数学者ヴァーナー・ヴィンジと発明者でフューチャリストのレイ・カーツワイルにより初めて提示されました。

これは人類の未来への脅威という考え方もありますが、チャンスととらえる向きもあります。シンギュラリティが起こるのかどうかについても、議論があります。

シンギュラリティはすでに起こっている?

シンギュラリティをどのように定義し判断するかは諸説分かれるところではありますが、人間の歴史を眺めてみると、現代はすでに特異的な状況にあることが分かります。産業革命以後、宇宙開発、電子化、インターネット、エネルギー革命、などの変化で人の暮らしは一変しています。数億年という生物の歴史、数万年という人類の歴史から考えると、高々数百年で起こっている変化はあまりに急速です。人口増加や、エネルギー消費量増大など、不可逆的とも思えるような人類の図式の変化が、様々な形で起こっています。

人工知能の発達により、社会の様々な側面の急激な変化が起こることは予想されます。仕事がなくなる、ともいわれます。

ただし、人間が想像した未来が、その通りに実現していたのかというと、いつも想像外、想像の範囲外のことが起こっているといえそうです。50年前にインターネットを予想した人は、30年前にスマートフォンを予想した人は、15年前にSNSの普及を予想した人は、どれだけいたのでしょうか。

変化が加速している時代に、10年後、20年後の社会を予測することは、たやすいことではないと思われます。すでに予測のつかない未来を抱えている現代は、シンギュラリティの定義からすると、その真っただ中といえるのではないかと思います。

シンギュラリティ議論から

シンギュラリティという言葉が独り歩きしている感もありますが、未来の姿を想像して、どのような未来にすべきかを考えることは、おそらく人間にとって非常に大切な取り組みであると思われます。人間はどうしても、過去の生存の歴史によって培った習性で生き方がデザインされています。そして、資本主義から現代に至りマーケティング社会・消費社会の構図では、人間の弱さを利用するような仕掛けさえ、人間によって施されています。人間の本能とそれを利用する人間の突き進むその先に、理想的な未来は描けないと思われます。

未来を考えることを始めてみる人が増えることが、理想的な未来をつくるために必要だとすれば、人工知能やシンギュラリティの議論も大いに歓迎すべきことでしょう。今の社会は、未来をつくろうとした過去の人たちの手によって、大部分がデザインされています。

 

シンギュラリティ:技術的特異点