真空装置メーカーが提案する最新表面処理技術 ~低粘着性表面処理~

表面処理の技術は、分野に限らず進化・深化が進んでいます。

従来は、表面の硬度、耐摩耗性などの機械的物性を高める技術への注目が高かったのですが、近年では、様々な機能の付与が提案されています。

代表的な所では、抗菌・触媒機能、潤滑機能、光制御機能などがあります。その他にも、防汚機能や、自己修復、低粘着性といったニーズも存在ます。

 

C39の提案

真空成膜装置のトップメーカーであるアルバックのグループ「アルバックテクノ」から、新しい表面処理技術として、低粘着性の表面処理技術「C39」が提案されています。(2018年6月20日の日本ものづくりワールドで出展)

この技術はフッ素樹脂加工の代替技術として提案されてています。フッ素の課題である、耐熱性や長期信頼性への対応を実現します。

無機のセラミックスを焼き付ける方法で低粘着性耐熱性を実現しています。

 

 

C39の概要

アルバックテクノで開発された非粘着、耐摩耗、耐熱や耐食に優れたセラミックコーティングです。

金属である鉄、ステンレス、銅合金、アルミニウム合金から陶器・ガラスなどにも処理が可能です。

フッ素樹脂コーティングに比べ硬度や耐摩耗性、耐熱性に優れ、さまざまな用途にご使用いただけます。(アルバックテクノHPより)

  • 耐摩耗性:鉛筆硬度8H相当
  • 適用材質:鉄・ステンレス・銅合金・アルミニウム合金・陶器・ガラスなど
  • 膜厚:30μm
  • 皮膜の色:黒、白、その他(応相談)
  • 表面の特徴:非粘着性・離型性・低摩擦性
  • 想定用途:食品こびりつき対策、部品の摺動性向上、成形物の付着防止など

 

表面に溶射で凹凸をつくり、そのうえにC39処理をして、より接着性を低減する技術も提案されています。

(以下はそのサンプル)

 

アルバックの表面技術

アルバックグループというと真空装置メーカーという認識が一般的ですが、成膜加工・表面処理に関する様々な技術を発表しています。

  • VACAL(バッカル):クラックの発生を極めて少なくする真空装置向け特殊アルマイト
  • TUFRAM(タフラム):耐摩耗性向上などを実現した硬質アルマイトとフッ素樹脂の高機能複合皮膜
  • NEDOX(ニダックス):高硬度で耐摩耗性・滑り性・かじり防止に優れた無電解ニッケルめっきとフッ素樹脂の高機能複合表面処理
  • NIFGRIP(ニフグリップ):離型性・非粘着性・滑り性に優れた無電解ニッケル・フッ素樹脂共析めっき
  • LECTROFLUOR(レクトロフロー):深刻なダメージを与える過酷な環境において、腐食や酸化を防止するフッ素樹脂コーティング

 (引用:アルバックテクノHPより)

 

真空装置で用いられる素材には、低発塵性、耐耐摩耗性、プラズマ耐性、などの様々な要求があり、それを満たすための技術として開発され、実際にアルバックの真空装置に活用されています。

低欠陥が求められる半導体や電子デバイスのプロセスで、装置の部材コスレなどによる発塵や、ワークのハンドリングの発塵への対策に、有効活用できます。

お困りの場合は、一度へご相談されてはいかがでしょうか。

 

アルバックテクノ

日本ものづくりワールド2018 2018年6月20日~22日 東京ビッグサイト

 

出典:薄膜の杜